1. 額面で比べるから話がおかしくなる
「ボーナス3万円」と「キャッシュバック年12万円」。この2つを並べれば、後者を選ぶのが当然に見えます。逆に「ボーナス15万円」と「キャッシュバック年9万円」なら、前者に軍配が上がりそうです。
しかしこの比べ方は正確ではありません。ボーナスの額面と実質的な価値は同じではないからです。3万円と書かれていても、あなたが実際に得られる価値は3万円とは限りません。
ボーナスには3つの割引が掛かります。出金できないこと、クッション機能の有無で使い勝手が変わること、そして消滅条件があること。この3つを反映して初めて、キャッシュバックと同じ土俵に乗ります。
「ボーナスはいらない」と主張するつもりはありません。条件が揃えば十分に価値があります。ただ額面のまま他の特典と比較するのは誤りだというのがこの記事の主張です。実質価値を出したうえで判断してください。
2. 割引1:出金できない
最も大きな割引がこれです。ボーナスは証拠金としてしか使えず、それ自体を現金化することはできません。
「3万円もらった」の意味
口座残高に3万円が加算されると、資産が3万円増えたように感じます。しかし実際に得たのは現金ではなく、「3万円分だけ多くポジションを持てる権利」です。
| 項目 | ボーナス3万円 | キャッシュバック3万円 |
|---|---|---|
| 出金できるか | できない | できる |
| 使い道 | 証拠金としてのみ | 自由 |
| 取引をやめたら | 消える | 手元に残る |
| 実質的な性質 | レバレッジを上げる権利 | 現金収入 |
ボーナスで得た利益は出金できます。出金できないのはボーナスそのものです。この区別は重要で、詳しくはボーナスが出金できない理由をまとめた記事で扱っています。
3. 割引2:クッション機能の有無
2つ目の割引は、そのボーナスが証拠金として計算されるかどうかです。
| 条件 | 証拠金の計算 | 10万円入金+5万円ボーナスの場合 |
|---|---|---|
| クッション機能あり | 残高 + ボーナス | 15万円の含み損まで耐えられる |
| クッション機能なし | 残高のみ | 10万円の含み損までしか耐えられない |
クッション機能がない場合、ボーナスは口座に表示されていても取引余力を1円も増やしません。さらに深刻なのは、現金残高がゼロになった時点でボーナスも全額消滅するという点です。
「資金が減ってもボーナスが残っているから大丈夫」と考えたくなりますが、クッション機能がなければそうはなりません。現金がゼロになった瞬間にボーナスも消えます。取引余力も増えず、最後の砦にもならない。この条件下でのボーナスの実質価値は、額面よりかなり低く見積もる必要があります。
クッション機能の詳細と業者ごとの扱いはクッション機能ありなしの違いをまとめた記事で解説しています。
4. 割引3:消滅条件がある
3つ目は、受け取ったボーナスが手元に残り続けるとは限らないという点です。
| 消滅する場面 | どうなるか |
|---|---|
| 出金したとき | 出金額に比例してボーナスが減る(全額消えることも) |
| 有効期限を過ぎたとき | 期限を設けている業者が多い |
| 口座が休眠になったとき | 一定期間の未取引・未入出金で凍結され、ボーナスは消滅 |
| 残高がゼロになったとき | クッション機能がない場合は全額消滅 |
つまりボーナスは「期限内に使い切れて初めて価値になる」という性質を持ちます。受け取った時点では、まだ価値が確定していません。詳しい条件はボーナスが消える条件をまとめた記事にあります。
5. 3つの割引を反映した実質価値
ここまでの内容を、額面3万円のボーナスに当てはめてみます。
条件が最も良い場合(クッション機能あり、期限内に使い切れる)であれば、実質価値は額面に近づきます。この場合のボーナスは「レバレッジを上げる権利」として正しく機能します。
一方でクッション機能がない場合、実質価値はかなり低くなります。取引余力も増えず、残高ゼロで消滅するためです。
キャッシュバックは割引が掛からない
対してキャッシュバックには、この3つの割引がいずれも適用されません。
- 出金できる……最低出金額は1,500円程度と低い
- 証拠金の扱いを気にする必要がない……そもそも現金なので
- 有効期限も消滅条件もない……受け取った時点で価値が確定する
- 取引をやめても手元に残る……FXを続けるかどうかと無関係
額面がそのまま価値になるという点が、ボーナスとの決定的な違いです。だからこそ額面同士を並べて比較すると、判断を誤ります。
6. それでもボーナスが有利になる場面
ここまで割引の話ばかりしてきましたが、ボーナスが優位に立つ場面もあります。
資金が少なく、取引余力を増やしたいとき
クッション機能付きのボーナスは、少ない自己資金でも取引余力を大きくできます。10万円しか用意できない方が15万円分の余力を持てるというのは、実際に意味のある違いです。ロスカットに耐えられる幅が広がるためです。
短期間で試したいとき
キャッシュバックは取引を続けるほど積み上がる性質なので、短期間で辞める可能性がある方には向きません。一方ボーナスは受け取った時点で使えるため、まず試してみたいという段階では有利に働きます。
取引量が少ないとき
月に数ロットしか取引しない方であれば、キャッシュバックの年間累計はボーナスの額面に届かないことがあります。この場合はボーナスを受け取っておくほうが確実です。
上の図は、ボーナス3万円相当とキャッシュバック(月10ロット・7.0USD/lot)を比べたモデルケースです。取引を続ける方であれば数ヶ月で逆転しますが、取引量が少なければ逆転までに時間がかかります。
7. そもそも二者択一ではない
ここまで比較の話をしてきましたが、最も重要な事実を最後に置きます。
ExnessやTitanFXはそもそもボーナスを配っていません。ThreeTraderやAXIORYには常設ボーナスがありません。XM・FXGT・HFM・Vantageにはボーナス対象外の口座タイプが存在するため、口座を分ければ両方受け取れます。実質的に「どちらかを選ばなければならない」のはBigBossだけでした。
つまり多くの方にとって、この記事の比較そのものが不要になります。ボーナス用の口座とキャッシュバック用の口座を分けておけば、両方の特典を取りこぼしません。業者別の可否一覧はボーナスとキャッシュバックを両取りする方法にまとめています。
順序だけ間違えない
両取りする場合、順序が重要です。ボーナスを先に受け取ってから、キャッシュバック口座に移る。ボーナスは受け取れる機会が限られており、逃すと取り返せません。一方キャッシュバックはいつ始めても、そこから先の取引すべてに還元が乗ります。取り返せないほうを先に確保するのが合理的です。
8. 実質価値を出す手順
ご自身のケースで判断するための手順です。
| 手順 | 確認すること | 判断 |
|---|---|---|
| STEP 1 | そのボーナスにクッション機能はあるか | なければ実質価値を大きく割り引く |
| STEP 2 | 有効期限はあるか。期限内に使い切れそうか | 使い切れない分は価値に数えない |
| STEP 3 | 出金予定はあるか | 出金するとボーナスは比例して消える |
| STEP 4 | 口座を分けて両取りできる業者か | できるなら比較そのものが不要 |
STEP 4で「できる」となれば、STEP 1〜3の検討は意味を持ちません。まずSTEP 4から確認するほうが早いかもしれません。
上の図はキャッシュバックが積み上がるイメージです。ボーナスが一度きりの上乗せであるのに対し、こちらは取引を続けるかぎり伸び続けます。この形状の違いが、両者の性質の違いをよく表しています。
9. よくある質問
10. まとめ:いらないのではなく、額面どおりではない
- ボーナスの額面と実質価値は違う。出金不可・クッション有無・消滅条件の3つの割引が掛かる
- クッション機能がなければ価値は大きく下がる。取引余力が増えず、残高ゼロで全額消滅する
- キャッシュバックには割引が掛からない。出金できる現金で、期限も消滅条件もない
- ボーナスが有利な場面もある。資金が少ない・短期間・取引量が少ない場合
- そもそも多くの業者では二者択一にならない。口座を分ければ両方受け取れる
「ボーナスはいらない」という結論は乱暴です。条件が揃えば十分に価値があります。ただし額面のまま他の特典と比較するのは誤りで、3つの割引を反映してから判断する必要があります。
そして多くの場合、比較そのものが不要になります。口座を分ければ両方受け取れるからです。まずはご自身の業者が両取りできるかどうかを確認してみてください。入金ボーナスの実質価値を具体的に計算したい方は入金ボーナス100%の実質価値を計算した記事もあわせてどうぞ。