1. 費用が怖いのは、回収経路を知らないから
プロップファームに踏み出せない理由を突き詰めると、たいてい同じところに行き着きます。チャレンジ料が丸ごと無駄になるかもしれないという不安です。
この不安は正当なものです。合格率は業界平均で5パーセントから15パーセント程度とされています。1回で通ることを前提にした計画は、期待値の面で現実的ではありません。
ただし「戻るか戻らないか」の二択で考えると、実際の構造を見誤ります。費用の回収経路は1つではないからです。
②の返金と③の利益配分は、どちらも合格が前提です。不合格ならどちらも発生しません。ところが①だけは違います。申し込みの時点で確定し、結果に左右されません。
合格率が90パーセントなら、②と③をあてにする計画も成り立ちます。しかし5パーセントから15パーセントという水準では、ほとんどの挑戦は②③に到達しません。到達しない前提で残る回収経路がどれかを、先に確認しておく価値があります。
2. 実質の費用を計算する
還元がある場合、1回あたりの実質負担がどう変わるかを見ます。還元率は提携の条件によって異なるため、ここでは仮に10パーセントを置いて計算します。
還元は費用に比例するため、高いプランほど戻る金額も大きくなります。ただしこれは「高いプランを選ぶべき」という話ではありません。後述するとおり、資金額を上げても難易度は下がらないからです。
3. 複数回挑戦する前提で総支出を出す
1回あたりの計算より、実際に意味を持つのは総支出です。合格までに複数回かかることを前提に置きます。
1回30,000円のプランに10回挑戦し、10回目で合格したとします。合格時に費用が返金される仕組みであれば、その1回分は戻ります。
差は30,000円。ちょうどチャレンジ1回分です。言い換えると、還元を通しておくだけで、10回挑戦するあいだに1回分の挑戦権が生まれる計算になります。
20回挑戦する結果になれば、還元分は2回分に相当します。合格までの回数が増えるほど、還元の累計も増えていきます。不確実性が高い領域ほど、確実に発生する要素の価値が上がるという構造です。
4. 資金額を上げても難易度は下がらない
費用を抑える話で最初に見直すべきは、選ぶプランの規模です。
チャレンジ費用は提供される資金額に応じて高くなります。1万円程度から始められるものから、30万円程度必要なものまで幅があります。ここで多くの人が「大きいほうが効率がいい」と考えます。
| 項目 | 小さいプラン | 大きいプラン |
|---|---|---|
| 費用 | 安い | 高い |
| 利益目標 | 資金の一定割合 | 資金の一定割合(同じ比率) |
| ドローダウン制限 | 資金の一定割合 | 資金の一定割合(同じ比率) |
| 難易度 | 同じ | 同じ |
利益目標もドローダウンの制限も、比率で設定されるのが一般的です。資金が10倍になれば目標額も10倍、許容される損失額も10倍。比率が同じである以上、達成の難易度は変わりません。
つまり大きいプランを選ぶと、難易度は据え置きのまま費用だけが上がります。手順に慣れていない段階では、小さいプランで一度通してみるほうが総支出を抑えられます。
5. 最も効くのは「失格しないこと」
ここまでの話を、効果の順に並べ直します。
①が最上位にある理由は単純です。費用を1割引くより、挑戦回数を1回減らすほうが金額として大きいからです。30,000円のプランなら、1割引きは3,000円、1回減らすのは30,000円。桁が違います。
そして失格の理由は、事前に把握できるものがほとんどです。相場を読み違えて負けたというケースより、ルールを理解していなかったために失格したというケースのほうが多く報告されています。典型的なパターンは失敗する典型パターンの記事に整理しています。
費用が安いプランは、その分だけルールが厳しく設定されている場合があります。ドローダウンの計算方法や、保有できる時間の制限などです。1回の費用が安くても、失格しやすければ総支出は増えます。費用とルールの厳しさは、必ずセットで確認してください。
6. 2ステップと1ステップの選び方
費用に直結するもうひとつの選択が、審査の段階数です。
| 1ステップ | 2ステップ | |
|---|---|---|
| 審査の回数 | 1回で完了する | 2段階を通過する必要がある |
| 利益目標 | 厳しく設定される傾向 | 各段階は緩やかなことが多い |
| 制限 | 厳しめのことが多い | 段階ごとに設定される |
| 向いている型 | 短期間で結果を出す手法 | 時間をかけて積み上げる手法 |
2ステップの一般的な構成では、第1段階で資金の8パーセント程度の利益目標、最大ドローダウンは10パーセント程度。第2段階では利益目標が5パーセントから6パーセント程度に下がる、という設計が多く見られます。
自分の手法がどちらの型かを先に決めてください。短期間に一気に伸ばす手法なら1ステップ、コツコツ積む手法なら2ステップのほうが相性がよくなります。条件は事業者ごとに違うため、詳細は比較記事で確認してください。
7. 還元を通すときの注意点
還元を回収経路に組み込む場合、順番に注意が必要です。
- 還元を受け取る仕組みへの登録(無料・数分で完了)
- 対象の事業者かどうかの確認
- その仕組みを経由して申し込む
公式サイトから直接申し込んでしまうと、その申し込みは還元の対象になりません。あとから申し出ても、遡って対象にすることはできません。数分の手順を先に済ませるかどうかで結果が変わります。
還元の内容や割合は提携の条件によって異なり、変更されることもあります。申し込み前に最新の条件をご確認ください。対象事業者ごとの詳細はFintokeiの記事やTradingCultの記事にまとめています。
8. 自己資金口座を並行させるという考え方
最後に、費用の話をもう一段広げます。
プロップファームの支出は、合格するまで一方通行です。挑戦するたびに費用が出ていき、戻るのは合格したときだけ。この期間、収入側がゼロだと精神的にも苦しくなります。
| プロップファーム | 自己資金口座 | |
|---|---|---|
| 資金の規模 | 大きく借りられる | 自分の資金の範囲 |
| 結果の不確実性 | 合否がある | 結果はそのまま自分に帰属 |
| 還元 | 購入時に発生する形 | 取引のたびに継続して発生 |
自己資金口座で取引を続けていれば、その取引量に対して還元が発生します。これはプロップの合否とまったく無関係に積み上がります。月10ロットでCB率7.0 USDなら月におよそ10,500円。3回分のチャレンジ費用を1年で作れる規模です。
両方を並行させる設計については二刀流の記事で詳しく扱っています。
9. よくある質問
10. まとめ:結果に左右されない経路を先に作る
- 回収経路は3つある。不合格でも残るのは購入時の還元だけ
- 資金額を上げても難易度は下がらない。比率で設定されるため
- 最も効くのは失格しないこと。1回減らすほうが1割引きより大きい
- 安いプランはルールが厳しいことがある。セットで確認する
- 申し込み前に登録を済ませる。遡って対象にはできない
プロップファームは、合格すれば大きな資金を扱える一方で、そこに至るまでの支出が一方通行になりやすい仕組みです。だからこそ、結果に左右されない回収経路を先に確保しておく意味があります。
還元は合否を問わず発生し、自己資金口座の還元は挑戦を続けているあいだも積み上がります。不確実性が高い領域ほど、確実に発生する要素を組み込む価値が上がります。
自己資金口座の還元が自分の取引量でいくらになるかは、サイドバーの計算機で試算できます。まずは1回分のチャレンジ費用をどう作るか、から考えてみてください。