1. 判断の基準は「誰が発注したか」ではない
コピートレードやミラートレードを使っていると、キャッシュバックの話は自分に関係ないように感じます。注文ボタンを押しているのは自分ではないからです。
しかしこの直感は、仕組みの理解としては正しくありません。還元の発生を決めているのは操作した人ではなく、どの口座で取引が約定したかだからです。
コピー元が発注し、その売買が自分の口座でポジションになる。この形式であれば、取引量は自分の口座に記録されます。記録された取引量に対してIB(紹介業者)へ報酬が発生し、その一部が還元として戻ってきます。
この構造には、裁量トレードにはない性質があります。自分が何もしていない時間に発生した取引にも、還元が乗るという点です。コピー元が深夜に10回取引すれば、その10回分の取引量が翌朝には記録されています。
2. 形式によっては対象にならない
ただし、すべてのコピートレードが該当するわけではありません。分かれ目は、自分名義の口座で実際にポジションが立つかどうかです。
| 形式 | 取引量の記録 |
|---|---|
| 自分の口座でポジションが立つ | 自分の取引履歴に残る。還元の対象になり得る |
| 運用者の口座にまとめて預ける形式 | 自分の口座に取引が記録されない |
| 損益だけが配分される形式 | 同じく取引量が発生しない |
海外FX業者が提供しているコピー機能の多くは1行目です。自分の口座に、コピー元と同じ売買が反映されます。この場合は通常の取引とまったく同じ扱いになります。
3. 最大の落とし穴:口座を開くリンク
ここが、この記事で最も重要な部分です。
コピートレードを提供する側は、多くの場合自分たちが指定するリンクからの口座開設を求めます。手順の案内に沿って進めると、そのリンクを踏むことになります。
1行目と2行目を見比べてください。取引の中身はまったく同じです。同じコピー元をフォローし、同じ売買が自分の口座で約定します。違うのは、口座を開いたときに経由したリンクだけです。
キャッシュバックはIBの仕組みで成り立っており、どのIBに紐づくかは口座を開設したときのリンクで確定します。あとから「還元も受け取りたい」と申し出ても、その口座を対象にすることはできません。新しく口座を開き直すしかありません。
そのため順番が決定的に重要になります。コピートレードを始める前に、還元を受け取る仕組みへの登録を済ませ、そこから口座を開く。この順序を守らないと、以後どれだけ取引量が積み上がっても還元は発生しません。登録から紐づけまでの手順は登録方法の解説記事にまとめています。
4. コピートレードの実質コストは項目が多い
コピートレードを比較するとき、多くの人は成功報酬の率だけを見ます。しかし実際の負担はもっと複合的です。
スプレッドと取引手数料は、コピー元が取引するたびに発生します。コピー元の取引頻度が高ければ、その分だけ自分の口座からコストが出ていきます。コピー元の成績表には、このコストが自分の口座でいくらになるかは書かれていません。
そして上2項目は取引量に比例するため、キャッシュバックと同じ土俵に乗ります。つまり還元で直接相殺できる部分です。計算方法は実質コストの記事と同じ考え方で扱えます。
5. 成功報酬と還元を金額で比べる
性質の違う2つですが、月単位の金額に直せば比較できます。月20ロットの取引量、月間利益50,000円、成功報酬率20パーセントという条件で並べます。
この条件では、どのCB率でも成功報酬を上回ります。CB率5.0 USDでも15,000円で、成功報酬10,000円より大きい計算です。
さらに発生条件が違います。成功報酬は利益が出た月にしか発生しませんが、キャッシュバックは取引した月には必ず発生します。負けた月は、成功報酬がゼロで還元だけが残るという構図になります。
コピートレードで最もつらいのは、成績が落ち込んだ時期です。その期間も取引量は発生しているため、還元は通常どおり積み上がります。損失を軽くする方向に働く唯一の要素が還元だ、という言い方もできます。
6. コピー元を選ぶ基準にも影響する
還元を計算に入れると、コピー元の選び方も少し変わります。
| コピー元のタイプ | コスト | 還元 |
|---|---|---|
| 取引頻度が高い | スプレッドの負担が大きい | 取引量が多く還元も大きい |
| 取引頻度が低い | スプレッドの負担が小さい | 取引量が少なく還元も小さい |
取引頻度が高いコピー元は、コストが重くなる代わりに還元も大きくなります。両者は同じ取引量に比例するため、実質的にはスプレッドから還元を引いた差額が、頻度に応じて増減するという関係です。
つまり還元率の高い業者を使っているほど、高頻度のコピー元を選んだときの不利が小さくなります。逆に還元がゼロなら、高頻度のコピー元はコストだけが積み上がります。
7. 始める前に決めておく3つのこと
順番を間違えると取り返しがつかないため、着手前に確認しておく項目を整理します。
- ① 自分の口座でポジションが立つ形式かを確認する
- ② 還元を受け取る仕組みに先に登録する。口座開設より前に
- ③ 口座はその仕組み経由で開く。指定リンクを踏まない
②と③の順番だけは、あとから修正できません。すでに口座を開いてしまっている場合は、同じ業者に追加口座を作り、コピーの設定をそちらへ移す形になります。既存の口座はそのまま残しておいて問題ありません。
コピートレードの設定は、口座番号を指定し直すだけで移せることがほとんどです。EAのようにファイルを移す作業も不要で、手間としては小さいものです。残高の移動だけ気をつけてください。
8. EAとの扱いの違い
自分で操作しないという点で、コピートレードはEAとよく似ています。還元の仕組みから見ると、両者に違いはありません。
| EA | コピートレード | |
|---|---|---|
| 発注 | プログラムが判断 | コピー元が判断 |
| 約定する口座 | 自分の口座 | 自分の口座 |
| 還元 | 対象になる | 対象になる |
| 注意点 | 業者がEAを許可しているか | 口座開設のリンクを指定されやすい |
違いは最終行です。EAは自分で導入するので、口座をどこから開くかは自分の判断で決められます。一方コピートレードは、提供側の案内に沿って進めると自然に指定リンクへ誘導されます。意識していないと、気づかないうちに対象外の口座を作ってしまうのはこちらです。
EA運用における還元の扱いはEA・自動売買とキャッシュバックの記事で詳しく扱っています。
9. よくある質問
10. まとめ:操作していない取引にも還元は乗る
- 判断の基準は自分の口座で約定しているかどうか。発注者は関係ない
- 口座を開くリンクで結果が分かれる。指定リンクだと対象外になる
- 紐づけは後から変更できない。登録してから口座を開く
- 実質コストはスプレッド・手数料・成功報酬から還元を引いた額
- 負けた月にも還元は発生する。成功報酬はゼロになる
コピートレードは、自分の判断を挟まずに運用が進む仕組みです。だからこそ、始める前に決めた条件がそのまま結果を左右します。あとから調整できる部分がほとんどないからです。
口座を開くリンクも、その「あとから調整できない条件」のひとつです。取引の中身が同じでも、リンクひとつで還元の有無が変わります。年間に直せば十数万円規模の差になり得る項目が、最初の数分の手順で決まってしまいます。
これから始めるなら、口座を開く前に確認してください。すでに始めている場合は、追加口座への移行で対応できます。自分の取引量でいくらになるかは、サイドバーの計算機で試算できます。