1. 「広い」という評価は、どこまで正しいのか
XMの口コミを探すと、スプレッドの広さを指摘する声が目立ちます。この評価は、スタンダード口座に限って言えば事実です。主要な通貨ペアで、他社より広めの水準になることは珍しくありません。
ただし、この結論が出てくる過程には抜けている情報があります。
比較表に載るのは1行目だけです。XMという名前で代表されるのはスタンダード口座の数値で、KIWAMI極み口座の数値が並べられることはあまりありません。
そしてキャッシュバック率は、そもそも比較表の項目に存在しません。XMの還元率は1ロットあたり8.5 USDで、対応ブローカーのなかでも最高水準です。この数字が抜けた状態で順位が決まっています。
EUR/USDでは1 pipが1ロットあたり10 USDです。つまりCB率8.5 USDは0.85 pips分のスプレッドと同じ価値を持ちます。業者間のスプレッド差が0.2 pipsから0.5 pips程度であることを考えると、還元のほうが大きい計算になります。
2. XM内の口座タイプで実質コストが変わる
乗り換えを検討する前に、まず同じXM内での選択肢を確認します。
注目すべきは3行目です。KIWAMI極み口座はスプレッドが下がるのに、キャッシュバック率は8.5 USDのまま据え置かれます。
これは一般的な構造から外れています。低スプレッドの口座は還元率も下がるのが普通で、スプレッドを削った分だけ還元も減るのが通常です。実際、XMのゼロ口座は還元率が4.25 USDに下がります。
ゼロ口座は往復コストが5 USD下がる代わりに還元も4.25 USD下がるため、実質では0.75 USDしか改善しません。ところがKIWAMI極み口座は、下がるのはスプレッドだけ。実質コストは7.5 USDから2.5 USDへ、一気に5 USD改善します。
3. 他社と並べると順位が変わる
では、他社と比べてどうなるのか。往復コストとキャッシュバックを両方並べます。
往復コストだけで見れば、IC Marketsの10 USDが最も安い数字です。低スプレッドを売りにしている業者なので、当然の結果です。
ところが還元を差し引くと、XMのKIWAMI極み口座が最上位になります。「スプレッドが広いから不利」という判断は、右端の列を見ていない結論です。
AXIORYは往復コストではXMのスタンダード口座より1 USD安いにもかかわらず、還元率が低いため実質では3.25 USD高くなります。スプレッド比較の順位と実質コストの順位は、上位でも下位でも一致しません。
4. 乗り換えより先に検討すること
金額に直して比較します。同じXM内で口座タイプを変えた場合の効果です。
月10ロットで年間90,000円、月30ロットなら年間270,000円。これは業者を乗り換えたときの改善幅と同等か、それ以上の金額です。
しかも手続きは、同じXM内で追加口座を作るだけです。入出金の方法も、プラットフォームの操作も、サポートの窓口も変わりません。乗り換えに伴う手間と学習コストがかからないという点は、金額以外の利点です。
5. KIWAMI極み口座を選ぶときの判断材料
もちろん、いいことばかりではありません。トレードオフを整理します。
| スタンダード口座 | KIWAMI極み口座 | |
|---|---|---|
| キャッシュバック | 8.5 USD | 8.5 USD(同率) |
| スプレッド | 広め | 大きく狭い |
| 取引手数料 | なし | なし |
| ボーナス | 対象 | 対象外 |
差が出るのは最終行だけです。入金ボーナスやクレジットを重視するならスタンダード口座、取引コストを重視するならKIWAMI極み口座、という選び方になります。
判断の基準は取引量です。取引量が多いほどコスト側の差が大きくなり、ボーナスの相対的な価値は下がります。逆に取引量が少なく、証拠金を厚くしたい段階ならボーナスの意味が大きくなります。条件は変更されることがあるため、口座を開く前に公式の案内でご確認ください。
XMは追加口座を複数作れます。ボーナスを受け取る口座と、コストを抑えて取引する口座を分けるという運用も可能です。詳しくはXMの完全攻略記事で扱っています。
6. 「広い」と感じる場面の一部は時間帯の問題
もうひとつ、体感に影響している要因があります。
スプレッドは常に一定ではありません。流動性が下がる時間帯には、どの業者でも広がります。
| 時間帯 | スプレッドの傾向 |
|---|---|
| ロンドン〜ニューヨーク重複 | 最も狭く安定する |
| 東京時間 | やや広い |
| 日本時間の早朝 | 流動性が最も低く、大きく開く |
| 経済指標の発表前後 | 一時的に数倍まで拡大することがある |
早朝や指標発表の直後に取引していれば、表示される数値は当然広くなります。この場面だけを見て「XMは広い」と判断している可能性もあります。比較するなら、同じ時間帯の数値どうしで比べる必要があります。
時間帯ごとの対処法はスプレッドが広いときの対処法にまとめています。
7. 実質コストの計算手順
自分で判定できるように、計算の手順を整理します。
- ① 往復スプレッド(EUR/USDなら1 pip=10 USDで換算)
- ② 取引手数料(口座タイプによる。KIWAMI極みは0)
- ③ キャッシュバック率(1ロットあたりのUSD)
- 実質コスト = ① + ② − ③
この式に自分の月間ロット数と為替レートを掛ければ、年間の負担が出ます。KIWAMI極み口座で月10ロットなら、2.5 USD × 10 × 12 × 150円で年間45,000円です。
比較するときは、必ず同じ通貨ペアと同じ時間帯で揃えてください。計算の詳細は実質コストの計算方法で扱っています。ドル円での順位はドル円の実質コスト比較をご覧ください。
8. 乗り換えを決める前の確認事項
それでも他社に移すべきかどうかを判断するために、最後の確認項目を挙げます。
| 確認すること | 判断 |
|---|---|
| KIWAMI極み口座を試したか | 未検討なら、乗り換えより先にこちら |
| キャッシュバックを受け取っているか | 未登録なら、実質コストは計算できていない |
| 取引している時間帯 | 早朝中心なら、業者を変えても改善しないことがある |
| ボーナスをどう評価するか | 重視するならスタンダード口座を残す判断もある |
2行目は特に重要です。キャッシュバックを受け取っていない状態では、XMの実質コストは16 USDのままです。この状態で他社と比較すれば、当然XMが不利に見えます。
そして紐づけは口座を開設したときのリンクで確定するため、既存の口座を後から対象にすることはできません。同じXM内に追加口座を作る形になります。既存口座はそのまま残しておいて構いません。
9. よくある質問
10. まとめ:判定に必要な列が足りていない
- 「広い」はスタンダード口座の話。XM全体の評価ではない
- CB率8.5 USDは最高水準。0.85 pips分に相当する
- KIWAMI極みは還元率が同率のまま。打ち消しが起きない
- 実質コスト2.5 USDは、低スプレッド他社を下回る
- 乗り換えより先に、同じXM内の口座タイプを検討する
スプレッドの比較表は、それ自体が間違っているわけではありません。掲載されている数値は正確で、XMのスタンダード口座が広めであることも事実です。
問題は、判定に必要な列が2つ足りないことです。口座タイプの選択肢と、キャッシュバック率。この2列を足すと、同じデータから逆の結論が出ます。
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